奥只見(新潟/福島) 丸山(1242.2m)、未丈ヶ岳(1552.8m)、大鳥岳(1348m)、四十峠(1261.5m) 2022年5月4〜5日  カウント:画像読み出し不能

所要時間
5/4
 3:25 駐車箇所−−4:18 反射板−−4:50 丸山−−4:55 1170m鞍部−−5:34 1225m峰を巻く−−6:03 1288m峰−−6:31 1370m峰−−6:51 1290m鞍部−−7:15 ウェストポーチ探索 7:43−−8:20 未丈ヶ岳(荷物デポ) 9:22−−9:47 1326m峰−−10:16 1181m鞍部−−10:51 1352m峰−−11:23 1323m峰−−11:49 大鳥岳(休憩) 12:31−−12:52 1323m峰−−13:21 1352m峰−−13:50 1181m鞍部−−14:35 1326m峰−−15:21 未丈ヶ岳(幕営)

5/5
4:26 未丈ヶ岳−−4:47 1358m峰−−5:03 1224m峰−−5:38 四十峠 −−6:17 1224m峰−−6:47 1358m峰を巻く−−7:31 未丈ヶ岳(テント撤収) 8:19−−8:58 1290m鞍部−−9:20 1370m峰−−9:46 1288m峰−−10:11 1225m峰を巻く−−10:48 1170m鞍部−−11:07 反射板−−11:18 車道(水浴び) 11:27−−11:29 駐車箇所

場所新潟県魚沼市/福島県南会津郡只見町
年月日2022年5月4〜5日 幕営1泊2日
天候
山行種類残雪期の藪山
交通手段マイカー
駐車場シルバーライン出口に駐車
登山道の有無無し
籔の有無全行程の1〜2割程度が尾根上の雪が落ちて藪漕ぎ
危険個所の有無特になし。痩せ尾根、急傾斜は雪が落ちて藪漕ぎだったので安全
冬装備10本爪アイゼン、ピッケル、ワカン(使用せず)
山頂の展望丸山:良好
未丈ヶ岳:大展望
大鳥岳:大展望
四十峠:北西側を除き展望良好
GPSトラックログ
(GPX形式)
1日目
2日目
コメント大型連休前半は寒気の影響で2日間の天候が持たず、現地入り後も悪天で1日延ばして実行。奥只見ダムから斜面に取り付いて丸山、未丈ヶ岳に至り、テントを張って大鳥岳を軽装で往復し、翌日に四十峠を往復して奥只見ダムに戻った。前日の雨が山の上では新雪になっていないか心配でワカンを持っていったが標高1250mでも新雪皆無だったため途中でワカンをデポしたが、帰りに見当たらず誰かに盗まれてしまった! 山の中でデポした品を盗まれたのは初めてだった。結局、新雪は未丈ヶ岳周辺だけでその深さは5cm程度でワカンは不要だった。ある程度の藪漕ぎは覚悟していたが、予想以上に雪が落ちてしまっていて藪漕ぎが必要で腕が傷だらけになった


未丈ヶ岳〜四十峠
大鳥岳に続く稜線
地図クリックで等倍表示
1日目
2日目


シルバーライン出口のダム側に駐車 最初の緩いカーブから斜面に取り付く
標高850m付近。傾斜が急で地面が出ている 標高1000m付近から見たスキー場下端の光
標高1050m付近の反射板 反射板から上部を見ている
標高1100m付近 丸山山頂直下
丸山山頂。スキー場の真っただ中 丸山から見た未丈ヶ岳方面
日の出 平坦な1205m峰
1205m峰から見た南側
1260m峰に向かう 1260m峰直下
カタクリ。雪が溶けた場所で多く見られた ショウジョウバカマ
1260m峰の北の肩。灌木藪 1260m峰北の肩から北西を見ている
イワウチワ。雪が溶けた場所で多く見られた シャクナゲがもう咲いていた
1210m鞍部手前で藪を抜けて残雪に乗る
1210m鞍部手前から見た1225m峰と未丈ヶ岳
残雪幅が狭い場所で古い足跡登場。大鳥岳まで続いていた 枝に無理やり通してワカンをデポ
奥が1225m峰 1225m峰直下。素直に尾根を直進し藪に突入したが左を巻くのが正解
1225m峰で左に進路変更 標高1200m付近
1288m峰を越えて1270m鞍部から1300m峰を見上げる 真新しい熊の足跡。今年初めて見た
標高1290m付近から見た1370m峰 1370m峰北側の尾根は雪がズタズタ
1370m峰てっぺんから見た日向倉山へ続く尾根。藪が出ている 1370m峰てっぺんから見た未丈ヶ岳
1370m峰てっぺんから見た東側 1370m峰の下り始めだけ雪が使える
すぐに藪に突入 藪突入直前から見た未丈ヶ岳
藪の植生は根曲がり灌木。笹よりずっと強固 今年初めて見たマンサク。北陸や白山周辺には無いのかな?
1290m鞍部で藪を抜けて残雪に乗りほっとする 1290m鞍部から登り返し標高1310m付近から1370m峰を振り返る
標高1310m付近から見た未丈ヶ岳 標高1400m付近でウェストポーチ紛失に気付き逆戻り
ウェストポーチを拾ってくれた埼玉の男性 標高1400m付近で引き返した自分の足跡
標高1470m付近。未丈ヶ岳山頂付近は広範囲に藪が出ている 標高1510m付近。藪が出た小尾根を越える
標高1530m付近 標高1530m付近。東から雪壁を登る
標高1540m付近。山頂直下 未丈ヶ岳山頂ピークだけ雪が消えている
未丈ヶ岳山頂 未丈ヶ岳山頂の三角点
未丈ヶ岳から見た南側の展望(クリックで拡大)
未丈ヶ岳から見た北側の展望(クリックで拡大)
風が避けられる藪の影に荷物をデポ 大鳥岳に向かう。かなり遠くに見える
標高1520m付近 1430m標高点付近
標高1350m付近 標高1320m付近
標高1320m付近から振り返る 1310m鞍部
1326m峰から北を見ている 標高1200m付近で藪に突入
標高1190m付近 カタクリ
1180m鞍部から1352m峰を見上げる。ずっと藪漕ぎだ 1180m鞍部付近の灌木藪刈り払い
明らかに人工的に切断したきれいな断面 まだ1180m鞍部。北を見ている
1180m鞍部から登りに変わる地点。まだ藪はマシな方 標高1190m付近。本格的に灌木藪
標高1200m付近 標高1210m付近。傾斜がきつくなる
四方八方に枝分かれした木が一番やっかい 標高1250m付近。雪が遠くまだ乗れない
標高1250m付近。やっと雪に乗り藪から解放される 標高1260m付近。雪が途切れてまた藪の中へ
スミレだが詳細な種類は不明 標高1260m付近。再び雪に乗る
標高1330m付近。また藪漕ぎ 標高1330m付近から見た1352m峰
1352m峰のてっぺん
1352m峰から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
1352m峰からの下りもまだ藪。でも短い 東側の雪に下る
標高1310m付近。雪が切れて藪の中へ 標高1290m付近から見た大鳥岳
1270m鞍部付近 1270m鞍部からの登り返し。岩があると藪は薄い
1270m鞍部付近から1323m峰、大鳥岳を見る
標高1280m付近から見た1323m峰 標高1290m付近
標高1300m付近から見た大鳥ダム
1323m峰から見た大鳥岳
1310m峰から見た大鳥岳 1280m鞍部付近。この藪は左から巻く
左の急雪面をトラバース 標高1320m付近。雪がズタズタだがかろうじてつながっていた
標高1340m付近。大鳥岳山頂東直下の残雪帯 大鳥岳から東に延びる尾根
残雪を離れて大鳥岳山頂へ 大鳥岳山頂は灌木藪
大鳥岳から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
大鳥岳から見た毛猛山 大鳥岳から見た未丈ヶ岳
大鳥岳山頂から見た東直下の残雪間にある藪 1280m鞍部から南を見ている
1310m峰付近 1270m鞍部付近から見た1352m峰
1323m峰を下って標高1290m付近。藪に突入 標高1280m付近
標高1280m付近。一時的に雪が使える 標高1280m付近。また藪
1270m鞍部北側
1270m鞍部北側から見た1352m峰と未丈ヶ岳
1270m鞍部付近から見た1352m峰 標高1320m付近。ズタズタでも残雪利用中
標高1340m付近。完全に雪が割れて尾根へ這い上がる 1352m峰から見た未丈ヶ岳
1352m峰から見た大鳥岳 往路では蕾だったタムシバが開花していた
灌木藪は下りでもきつい 標高1190m付近。藪を抜けるまでもう少し
標高1200m付近で藪を抜けた 藪尾根を振り返る
1310m鞍部付近 1330m鞍部付近
標高1460m付近 未丈ヶ岳山頂北側。やっと登り返し終了
風を避けて未丈ヶ岳山頂南東直下にテント設営 翌朝のテント。軽装で四十峠に向かう
最初から藪漕ぎ 雪田を通過
やっと藪を抜けそう これで雪にありつける
標高1490m付近。完全に藪を抜けた。しばらくは雪歩き 1340m鞍部付近
1358m峰から見た大鳥岳〜未丈ヶ岳に続く稜線
1358m峰から西へ延びる主尾根に乗るにはてっぺんの藪を突っ切る 藪を突っ切り先の尾根が見えるようになる
標高1350m付近。所々で雪が切れている 標高1340m付近
標高1230m付近 1224m峰付近
1224m峰から見た大鳥岳、1352m峰
1224m峰でも藪が待っていた 1224m峰の藪は尾根南直下が薄い
標高1210m付近で藪を抜ける しかしすぐに藪のピークが登場。でも藪は薄い
標高1210m付近。まだ藪は薄い区間 標高1210m付近。もう石楠花が咲いていた
まだ標高1210m付近。灌木が濃くなる まだ標高1210m付近。ボロボロのサンダル発見
飯盒とボロボロになったエアマット テントとフライの残骸。明らかにキャンプ跡だろう
藪を抜けたのは標高1200m付近 1170m鞍部から四十峠を見上げる
標高1210m付近 標高1210m付近の熊の足跡。おそらく昨日のもの
四十峠山頂 四十峠から見た燧ヶ岳
四十峠から見た東半分の展望
四十峠から見た西半分の展望
標高1200m付近から藪に突入 標高1210m付近で藪を抜ける
1224m峰付近の藪 1224m峰付近
標高1320m付近 標高1340m付近
帰りは1358m峰を西から巻いた 1358m峰から見た未丈ヶ岳
標高1350m付近 標高1490m付近で藪に突入
標高1490m付近 標高1500m付近
標高1510m付近 標高1510m付近
標高1520m付近 標高1530m付。近最後の藪を突破
未丈ヶ岳山頂 パッキングしながらテントの虫干し
標高1550m付近 標高1520m付近
標高1500m付近 標高1370m付近
標高1310m付近 アイゼンでできた傷
1290m鞍部を通過して標高1310m付近 標高1340m付近
1370m峰から見た東へ下る尾根 1370m峰から見た日向倉山+
標高1300m付近の真新しい足跡。ここで戻っている 足跡の主は5人パーティーだった
1300m峰から東を見ている
1228m峰から見た西側の展望
標高1270m付近から東を見ている かなりゆっくりペース。雪上訓練を兼ねていたのかも
1140m鞍部から1225m峰を見上げる 1225m峰への登り
1225m峰はてっぺんを通らず西を巻いた 1210m鞍部から1260m峰を見る
この木にワカンを取り付けたのだが無い! ここで左下の残雪に乗り移った
灌木藪を突破する必要あり 残雪帯に乗り1260m峰をトラバース
上部の雪から下ってきた 残雪が消えると草付きの斜面を登る
ミヤマリンドウに似ていると思ったが、おそらくフデリンドウ 小尾根から南を見ている。こちらも藪無し
花も葉もミヤマキンバイそっくりだが標高的にイワキンバイらしい 高山で見る種類のスミレではない
1260m峰直下から見た丸山周辺
丸山向けて1260m峰をトラバース中 平坦地に出る
1210m峰経由で丸山へ 1170m鞍部から丸山を西から巻く
丸山の南へ回り込むと立ち木皆無の大雪原! 斜面を見上げても樹林は無い
この尾根が往路に登った反射板がある尾根 尾根に乗った
反射板。けっこうでかい 目印はここだけ
送電鉄塔 ブナの尾根を下る
もうすぐ車道 車道直上。雪がつながった箇所から下った
車道に到着。雪解け水で汗を洗い流した 下ってきた尾根
ザック、ピッケル、アイゼン 駐車した場所
駐車箇所から下ってきた斜面を見上げる。送電鉄塔が見える


 奥只見は何だかんだで残雪期に何回も来ているが、それでもまだ未踏の藪山は多い。先週末は村杉半島の入門として村杉岳、三羽折の高手、倉前沢山を周回したが、既に大川猿倉山方面は藪が出ており、村杉岳より奥の山々は来年以降に決定した。この分ではシルバーライン開通直後くらいでないとだめかもしれない。

 今回のターゲットは村杉半島とは只見川を挟んで反対側の大鳥岳とした。その先の新潟/福島県境稜線には毛猛山等があるが、これらは浅草岳までの間のピークは全て登っているし、未丈ヶ岳も登っているので大鳥岳だけぽつんと取り残された格好だ。登山道は無く残雪期限定の山であり、日帰りは相当きついので大型連休にテントを背負って出かけるのにはちょうどいい。そのついでと言っては何だが丸山と四十峠も片付けることにした。丸山は丸山スキー場のリフト頂上駅があるので簡単に登れるが、当然ながら私の場合は早朝に出発してリフトの営業が始まる前に通過してしまう予定だ。四十峠は未丈ヶ岳から北西方向に延びる尾根上にあり、山名は峠なのに地形図を見ると三角点がある立派なピークである。ここも登山道は無く無雪期は深い藪だと予想されるので、登るなら残雪期しかない。

 ルートであるが、奥只見ダム付近からまず丸山に登り、1225m峰、1370m峰を経由して未丈ヶ岳に至って荷物をデポし、時間と体力に大幅な余裕があればその日のうちに大鳥岳を往復し、もし時間も体力もあまり残っていなければ四十峠の往復とする。翌日は登り残した大鳥岳か四十峠を軽装で往復し、テントを背負って起点に戻る計画とした。只見川沿いの林道を利用して大鳥ダムまで歩いての周回も考えたが、先週にこの林道を歩いて路面上を沢が流れる箇所があり、気温が上昇した場合は水量が増えて渡れるか心配なこと、大鳥ダム付近から斜面に取り付くが、ここの残雪状況が不明なこと(藪漕ぎのリスクがあること)、大鳥岳東直下の急斜面は雪庇ができているだろうから、大鳥岳山頂から東尾根に安全に乗り移れない可能性があることなどから、今回は林道は使わないことにした。この判断が正解なのかはおそらく永遠に分からないだろう。

 テント泊は体力を消耗するので体力が100%の状態でアタックする必要がある。そのために連休最初の山として考えていたのだが、昨年の大型連休と同様に天気が日替わりでころころ変わり、2日連続で好天が続かない。それに上空に寒気が入って平地で晴れでも奥只見など日本海側に近い山では雨や雪の予報が出ている。そんな日が4日も続いたため、あまりに暇なので2日間は自宅の近場で登らずとっておいた低山巡りをやり、偶然にもQZW氏と地附山で遭遇した。この時に氏には奥只見の計画は話しておいた。

 QZW氏と遭遇した翌日の夕方近くに自宅を出発。ネットの予報では明日からしばらくは好天続きとのことで、やっと寒気が抜けて天気が安定するようだった。しかし車を運転しながら聞いていたラジオの最新天気予報では、明日も日本海側は寒気の影響が残って新潟でお昼くらいまで雨との予報に変わってた。予報が外れればいいが当たると計画を延期する必要があり、これは当日朝の現地の天気で判断することにした。よって初日は登らずに車の中で停滞の可能性が出てきたので、小出で1日分の食料を追加調達してから奥只見に入った。

 大型連休前にシルバーラインの時間通行止めは解除になっているので夜間でも入ることができる。さすがに夜間は通行量は少なく、すれ違う車もほとんどいない。

 今回の起点は奥只見ダム近くでトンネルを抜けた付近からとした。おそらく一般的にはリフトで丸山まで上がるのだろうが、これだとスタt−ト時間が遅くなってしまう。おそらくスキー場の営業開始時刻はAM8:00だろう。雪が締った気温が低い時間帯にできるだけ距離を延ばすのが得策だ。この場合、スキー場のゲレンデを登るよりはトンネル入口付近からまっすぐ丸山に登るのが最短距離だし、起点の標高もいくらか高くできる。何といってもスキー場に立ち入る必要が無いのがいい。その取り付きの斜面は先週と同じく一面の残雪に覆われたままなので、問題なさそうだ。

 車中泊は車の通りが少ないところの方が安眠できるため、トンネル出口ではなくスキー場の駐車場よりさらに下った浄水施設入口とした。残念ながら到着時は予報通りの雨であり 、酒を飲んで寝るまでの間も断続的に雨が降っていた。気温は一桁で山では新雪が積もった可能性がある。

 翌朝、日の出前に起床したがまだ雨が断続的に降ったりやんだりで、周囲が明るくなると標高が高い稜線は雲の中で見えない。これでは安心して出発できないのでこのまま車の中で待機。午前中に回復すればお昼から出発して未丈ヶ岳まで進もうかと考えていたが、お昼になっても空は雲に覆われ雨は断続的に降ってくる。結局、天候が回復したのは夕方近くで、丸一日車の中での停滞となってしまった。でもラジオの天気予報では明日からは寒気が抜けて天気が安定し気温が上がるとのことで、天気の心配はなさそうだ。

 今回の装備であるが、直前に寒気が入ったので頭を悩ませた。昨年の白山周辺のように30cmもの新雪が積もっていた場合、ツボ足ではラッセルで体力を消耗して間違いなく途中断念となってしまう。かといってそれほど積もったのか分からない。夕方晴れてから対岸の梵天岳山頂が見えたが、山頂のシラビソが白くなっていて新雪が積もったのは分かったが、あちらの標高は1700m越えであり、今回の最高峰の未丈ヶ岳は1550m。未丈ヶ岳での積雪量が読めない。悩んだ末に重くなるがワカンを担ぐことにした。

 また、4月の猪頭山、瘤杉山では寒さでろくに寝られなかったため、今回は防寒着はダウンジャケットのみに減らして3シーズン用ダウンシュラフを追加することに。前回はダウンジャケットを持っていくのを忘れた手痛い失敗があったが、今回は忘れなかった。ガスは新たにたっぷりと充填した。私の場合、使用するガス缶の中身はカセットコンロ用ボンベで、ここから山用のカートリッジにガスを移すアダプタを利用している。カセットコンロのガスはブタンで低温では気化しにくいが、これまでの経験上では-5℃くらいまでは使えるので大型連休の標高1500m程度なら問題ない。

 ピッケルはマジなピッケルとした代わりに、アイゼンは軽い10本爪とした。今回のルートではそれほど危険個所があるとは思えなかった。好天が予想されるので麦藁帽子と強制風冷用の扇子も持つことに。防寒装備と暑さ対策と両方持つことになった。

 昼間はほとんど車の中で寝て過ごしたが、酒を飲んで夜も熟睡。これで明日は寝不足の心配は無い。出発は午前3:30頃として午前2時に起床。外は満天の星空で冷え込んでいるので雪質が期待できそう。

 飯を食って車をトンネル入口まで移動させ、ダム堰堤に近い側に駐車。道路の反対側の山側の方が駐車スペースは広いが、すぐ上は雪の斜面であり雪のブロックが落ちてくる恐れがあるので逆側にした。ここはダム堰堤への入口ゲートがあるが、ゲートからできるだけ離れた場所に駐車したので通行に支障は無いので大丈夫だろう。車のフロントガラスから見えるように今回の登山計画を印刷した紙を置いておいた。これで通報されることは無いし、万が一遭難した場合の保険になるだろう。

 まだ周囲は真っ暗だが、昨日の明るい時間帯にこの斜面の様子は観察済みで、ブナが生えた小尾根を登るのがいいと判断。LEDライトを点けてトンネル出口からやや下って最初の緩い右カーブから雪の斜面に取り付く。ここまでは法面で斜面に取り付けないのであった。このカーブは法面の高さが低く雪に覆われているので容易に突破可能。雪は良く締まってアイゼンが快適に効く。

 尾根の初めはいきなりの急登で地面が見えている箇所もあるが、背の高いブナが生えているので危険地帯ではない。ブナが立っているのが尾根の目印で、上へ上へと高度を稼ぐ。見下ろすとスキー場の施設の明かりが一段と輝いている。地上を照らすだけでなくこんな上向きにも光が漏れているのではLED照明器具ではなく昔ながらの光源なのだろう。時折シルバーラインからやってくる車のテールライトの赤い光も見える。

 標高1050m付近で地形図に記載が無いが尾根上に反射板が登場。おそらく奥只見ダムから田子倉ダム方面へ電波を反射するための設備だろう。反射板の足の部分だけ雪が消えており、この付近の積雪量は50cm程度のようだ。

 反射板からしばらくは背が比較的引くブナ林が続くが、標高1100m付近まで登ると立木がほとんど無い大雪原の尾根登り。スキー向きの植生だがゲレンデ外なので滑る人はほとんどいないだろう。あまりに立木が無いので雪崩が心配だが、既に明るくなり始めて周囲が見えるようになったが、雪面にクラックは見えなかった。きつい傾斜は丸山山頂まで続くので効率よく高度を稼げる。

 やっと傾斜が緩むと丸山スキー場のリフト頂上駅で、まさにここが丸山山頂であった。残念ながら三角点は雪の下なので見ることはできない。ゲレンデは夜中に圧雪車で整備したのでまだきれいなまま。わざわざその上を歩く必要は無いので、ゲレンデ脇の圧雪されていない自然の雪面を歩いた。ここでも全く沈まないので問題無しだ。丸山の標高でも新雪は全く見られず、この分ではワカンの出番はなさそうで、適当な場所でデポするか。ただしこの付近はだだっ広くて地形に特徴が無く、帰りにワカンを探すのが大変そうなので尾根が細くなってからデポするのがいいだろう。

 丸山北側の緩やかな1210峰を越えると126m峰が見えてくる。残念ながらてっぺん付近は雪が落ちて藪が出ているが、東斜面はまだ雪が付いているのでここで可能な限り距離を稼いでから尾根に出るのがいいだろうと判断し、1260m峰東斜面をトラバース。残雪が岩っぽい尾根で切れるところで尾根に乗り移るが、岩のおかげで藪は皆無で歩きやすい。しかし1260m峰の主尾根上は根曲がり灌木藪が出てしまっていて厄介。こんな状況がこの先に出現しないことを祈ろう。

 1260m峰を越えると残雪が登場。ここは尾根が細く帰りにも必ず通過するはずなので、ここでワカンをデポすることにした。こんなところを他に歩く人はいないだろうと尾根に真ん中に突き出した灌木の枝にワカンを通す。風でも落ちないよう枝を無理やり3本通したので、人間の手以外で取り外すのは不可能。紛失の心配は無い。

 次の1225m峰もてっぺん付近は藪が出ていたので東を巻いたが、そのまままっすぐな枝尾根に残雪が続いていたので引き込まれそうになってしまった。藪を通して左手に主尾根が見えたのでルートミスが発覚し、戻って再び灌木藪を突き抜けて西側に落ちる主尾根に乗り直した。

 この付近から古い足跡が微かに判別できるようになった。足跡の濃さや輪郭の溶け具合からして数日前のものだろう。歩幅を見る限りではこの下りで狭いので私とは逆方向からやってきたっと思われた。この足跡は消えかけているのでずっと追えたわけではないが、大鳥岳でもまだ足跡があったので、おそらく毛猛山方面から縦走してきたと思われる。とすれば2泊くらいだろうか。寒気が入って天気が不安定な中を縦走したのだとしたら、その気力も素晴らしい。今の私には真似できない。

 この付近から立木が少なくなり日焼けの心配が出てきたので、顔に日焼け止めを塗って頭には麦藁帽子を被った。ただし西寄りの風が冷たいので麦藁帽子の下には毛糸の帽子であった。これだと麦藁帽子がきつすぎて深く被ることができず、強風に煽られて飛ばされそうになるのが厄介だった。

 次の1300m峰はてっぺんだけ藪が出ていたが南から巻く。ここから見る西側の1370m峰の北側は未丈ヶ岳との鞍部まで雪が落ちて藪が出ているように見えるが、尾根の裏側(西側)に雪が残っているだろうか。日向倉山からつながる尾根も藪が出てしまっている。今年は残雪が多いはずだが、それでも大型連休の時期には藪が出てしまう個所が少なからずある。

 1300m峰付近で今シーズン初めてとなる熊の足跡を発見。輪郭の鋭さからして今朝付けられたものだろう。尾根上から南へと下っているのでそちらを見下ろしたが、熊の姿は見えなかった。翌日の四十峠への尾根でも熊の足跡があり、久しぶりにクマ避けの鈴を取り出してチリチリ鳴らしながら歩いた。

 1370m峰への登りは広い雪稜線で藪は皆無で気持ちい。てっぺん直下で東斜面をトラバースできないか見てみたが、雪は残っているがずたずたにブロック化しており、溝は2m以上ありそうで乗り越えるのは不可能だろう。このまま素直に尾根上を進むことにした。

 1370m峰は低い灌木に覆われて高い木は無く展望は最高。未丈ヶ岳はもう近いが、ここから鞍部までは一部を除いて雪が落ちてしまい灌木藪漕ぎ確定だ。こういう時は大ザックは藪に引っかかるので厄介だ。アイゼンの出番もしばらくなさそうなのでアイゼンを脱いでザックへ。ピッケルも不要だがザックに括り付けると藪に引っかかるので面倒だが手に持ったまま藪漕ぎ開始。

 1370m峰てっぺん〜北側の1290m鞍部までの藪はほぼ全て根曲がり灌木で笹は非常に少ない。でも灌木はいくら矮小とはいえ笹より硬いので進むのが厄介だ。尾根上には地面から四方に枝を延ばした灌木藪が立ちふさがる場面が少なからずあり、足を高く上げて踏みつけたり手で強引に押し分けたりと苦労させられた。灌木をかき分けるには腕力を使うので翌日は腕が酷い筋肉痛になるのが常であるが、私の場合は膝の怪我のリハビリを兼ねて平日は腕立て伏せをやっているのが効果を発揮したようで、翌日の腕の筋肉痛は軽微であった。ただし腕の擦り傷は腕カバーや長袖で保護したにもかかわらず多数できてしまった。

 1290m鞍部でやっと灌木藪が終わって残雪が現れてほっとする。ここから未丈ヶ岳山頂までずっと残雪が続いて藪は無く快適に歩けたのは良かったのだが、その途中でウェストポーチが無くなっていることに気付いた! いつもならデジカメをポーチに入れているので写真撮影の際にウェストポーチに手を延ばすが、ここのところ使っているデジカメはバッテリーが弱って寒さに弱く、低温のままだと電池切れで起動しないのでポケットに入れて温めておく必要があったので、ウェストポーチから物を出し入れする機会は少なかったため、気付くのが遅れた。

 藪を抜けた鞍部からここまでの間でウェストポーチのベルトの緩みを感じて確認したら、樹脂製のバックルのロックが緩んでいたのでしっかりと刺し直したのは覚えているので、その後に落ちたわけだ。あの時にバックルが緩んだ理由を追求しなかったが、こうなったということは何か不具合が生じたに違いない。ウェストポーチの中にはあまり重要でないものが多く、紛失しても行動にさほど影響は無いが、もしかしたら方位磁石だけは出番があるかもしれない。落とした区間は分かっているので荷物を置いて空身で逆戻りして探すことにした。あまり発見の期待は持っていなかったが。

 今日の朝は冷え込んで雪面は締っていて滑りやすく、雪面が平らな場所はいいが雪庇が発達して西に傾いた雪面でウェストポーチを落としたとすれば滑り落ちて発見不可能だろう。おそらく雪面を滑っても音がしないし跡も残らないので気付かないだろう。もったいないほど下ってもうすぐ鞍部というところで意外な発見が。ウェストポーチではなく登山者であった。私の他にも未丈ヶ岳に上がってきた登山者がいたのだ。接近して挨拶してすれ違おうと思ったら、この人が私のウェストポーチを拾い上げて持ってきてくれたのだ! 雪面の新しい足跡で先行者がいることが分かり、拾って持ってきてくれたのだった。大助かりでお礼を述べた。彼は銀山平から赤崩山、日向倉山経由で来たそうだが、そちらの尾根は藪が出ているように見えていた通りにかなりの藪漕ぎだったそうだ。今は西寄りの冷たい風が強く私は行動中でも長袖が必要だったが、彼は半袖で歩いていた。年齢はおそらく私と変わらぬくらいと思われるが私より元気かも。

 ウェストポーチを受け渡して彼は先に進み、私は落ちた原因の追究。このままではまた落としかねないので原因究明と応急処置が急務だ。樹脂製のバックルを見ると受け側の側面の一部が欠けており、ロックが不完全であった。以前使っていたウェストポーチでも同じ故障が発生したことがあり、その時にはビニールテープを巻いて対処した。今回も同様の対処が可能だが、灌木藪漕ぎのような強い負荷には耐えられないため、今回は針金でバックルを巻いてしまうことにした。脱着が面倒だが脱落の心配は無い。この処置に時間がかかり、先行する男性との差は200mくらいついていた。

 さすがに空身の私と日帰りの男性では負荷が違うので徐々に差を詰めたが、追いつく前に私がデポした大ザックに到着して今度は私のペースがダウンして差が徐々に広がっていく。未丈ヶ岳山頂は近いのでこのまま山頂まで歩くのかと思いきや、男性は風を避けられる尾根の影で休憩に。まさかの展開だが私が先に山頂に向かった。

 山頂付近はこれまでの残雪豊富な広い尾根と違って広範囲に藪が出てしまっている。雪が張り付いているのは南〜東斜面で、それでも完全に雪が繋がっているわけではなく藪漕ぎは必要だ。これはずっと手前の1260m峰からも見えていたことで、ここから見ると東斜面の様子が見えて藪を最短で抜けるルートも把握できたので、迷わずに細い残雪帯に入って最上部から小尾根を乗り越える場所だけ灌木藪を通過。距離にして10mほどで立った細い灌木だったので藪漕ぎと言うほどではなかった。小尾根を越えるとすぐに広い残雪帯に乗ることができた。

 この付近から幕営可能な場所を物色しながら歩いた。残雪帯は広いのでテントを張れる場所はどこにもあるが、西寄りの風が強くこれを避けられて、しかも雪面が水平に近い場所は限られる。候補地を数か所発見しつつも先に進み、未丈ヶ岳山頂直下にも風が避けられて幕営に最適な場所を発見できた。1370m峰でも新雪はごく僅かだったが、未丈ヶ岳山頂付近は真っ白な新雪があり深さは5cm程度でワカンは不要だ。この新雪のおかげで雪を溶かして作る水はごみの少ないきれいな水を得ることができた。これは新雪ならでわのメリットだ。でも古い雪を溶かして作った汚れた水でも腹の調子が悪くなったことはないけど。

 幕営適地に幕営用の荷物をデポするが、とりあえず目の前の未丈ヶ岳山頂を踏んでおくことにする。山頂部は完全に雪が消えて地面が見えており、灌木ではなく腰くらいの高さの笹に覆われていた。背の高い木が無いので展望は360度良好だが、今日は空気の透明度がイマイチで遠く山は霞んで見えないのが残念。只見川対岸には真黒な猿倉山がてっぺん付近だけ見え、大川猿倉山、村杉岳、三羽折の高手、倉前沢山と続く。その奥には会津朝日岳、大幽朝日岳、丸山岳、梵天岳、高幽山、中門岳、大杉岳、燧ヶ岳、平ヶ山、荒沢岳、兎岳、中ノ岳、越後駒ヶ岳と続く。北西方向には檜岳、毛猛山、中岳、百字ヶ岳などの毛猛山塊の主要メンバー。その奥には守門岳、浅草岳だ。おそらく妙高、火打も見えるはずだが霞で真っ白。後立山北部も見えるのかもしれない。爺ヶ岳からは村杉岳や大川猿倉岳が見えたことがあるが、未丈ヶ岳は見えなかったような。

 山頂で写真撮影してデポした荷物に戻り休憩。男性も山頂にやってきたので話を聞くと住まいは所沢(だったように記憶している)とのことで、この界隈に登るのは初めてだそうだ。初めての未丈ヶ岳を残雪期に登るのは珍しいパターンだ。残念ながらここからでは関東南部の山々は尾瀬〜荒沢岳〜越後駒でブロックされて全く見えない。男性は日帰りでやってきたのでこれから銀山平まで下るのも藪を考えれば大変だろう。先ほど休憩したので山頂滞在は短時間で下っていった。

 私は休憩を兼ねて水作り。気温が高い日中にガスで雪を溶かした方が燃料消費は少ないし時間もかからないと判断したためだ。ここは風が避けられる場所ではあるが無風ではなく、先にテントを設営してしまうと大鳥岳往復の間にテントが飛ばされないとも限らないので、まだテントは展開していない。この状態では風が当たってガスの炎が風にあおられて不安定&効率が悪いが仕方がない。まずは1リットル弱の水を作った。残りは戻ってからでいいだろう。

 大型のビニール袋にデポする荷物を詰め込んで袋の口を結んで出発。まだ時刻も体力もあるので距離がある大鳥岳を目指すことにした。さて、ずっと残雪が続いて藪漕ぎが無ければいいのだが。未丈ヶ岳山頂部は平坦で大鳥岳へ続く稜線は見えないのであった。

 残雪が続く山頂部の東側を通ってそのまま北東へと尾根を下っていく。傾斜が緩く丸い山頂部から下りに入ると先の様子が見えるようになり、しばらくは雪が続くようだが1352m峰への登りは完全に雪が落ちて藪が出ていて藪漕ぎ確定だ。まあ、これも想定内だが距離が長そうだなぁ。それさえ抜ければその先は大鳥岳まで大きく雪が落ちた区間はなさそうだ。

 1180m鞍部へともったいないくらい下っていくが、広い雪の稜線が続いて藪は皆無で快適に歩けた。ここまで断続的に続いていた古い足跡はまだ続いていて、この下りでの他場からして毛猛山方面からやってきたのは確実だ。ここでの歩幅は下りの私の半分以下であり、間違いなく登りでの歩幅である。尾根が広い場所では私の選択と異なるルートだったりするが、ごく一部を除いて私のルート判断と一致していた。その正確さゆえに地形的に先が見通せない場所でのルート判断にはこの足跡は大いに役立った。

 1180m鞍部付近から尾根幅が狭まると完全に雪が落ちてしまい、いよいよ灌木藪尾根に突入する。鞍部から1352m峰のてっぺん付近までの長い距離であり、ここでアイゼンを脱いでピッケルは逆さにしてザックに突っ込んだ。残念ながらザックからピック部分が突き出して藪に引っかかるが、両手を藪漕ぎに使えるのでこのスタイルで行くことにした。1370m峰の下りと同じく強固な根曲がり灌木が中心で僅かに笹が混じる程度。できるだけ灌木が横向きに寝ていない場所を選んで進んでいく。でも根元から四方八方に枝を広げた灌木が尾根直上にはびこっていると苦労する。おまけに弦藪も混じって一層厄介だ。

 1180m鞍部付近の平坦な藪尾根区間で一か所だけ藪に覆われず地面が出ている場所があった。自然地形ではなく元々灌木藪があったものを鋸等で刈り払ったきれいな切断面を持つ株がいくつもあり、幕営のためにわざわざ藪を刈ったと思われる。そこまで手間をかけるのは幕営場所が確保できない無雪期に縦走したからだろうか。今回のような残雪期なら雪があるところで幕営すればいい。でも本当に無雪期だとしたら相当な猛者で昔の大学のワンゲル並みだ。

 1352m峰の登りは急であるが、過去の経験上、傾斜が急な方が藪が薄いことが多かったが、今回もその例に漏れず、出だしは灌木が薄くて歩きやすかった。右手が岩っぽくなって尾根の左側を登っていくと再び灌木藪が濃くなり、藪に覆われた岩の上部で尾根に乗って少し登ると僅かな区間だけ残雪が使えるが、また濃い灌木藪に突入。完全に藪を抜け出すのは標高1250m付近まで登って傾斜が緩まってからであった。

 残雪に乗ると大幅スピードアップだが、尾根東側の雪庇の溶け残りのような残雪帯を歩くため、時々でかいクラックが横断して深さ2m以上もあると絶壁状態で乗り越えることはできない。仕方なしに残雪を下りて灌木藪を漕いで尾根に戻ってクラックを迂回し、再び雪の上に戻るようなことを何度もやった。これでも尾根通しで藪の中を進むよりはずっとマシだ。先人の薄い足跡も私の判断とほぼ同様であり、多少のリスクを冒してでも最大限に残雪を利用して藪を回避していた。

 1352m峰のてっぺんは残雪に覆われ立木や灌木藪もないため360度の大展望。見た感じでは大鳥岳も未丈ヶ岳も同じくらいの距離と思えるが、大鳥岳へ続く稜線は大きなアップダウンはないため時間はかからないだろう。

 藪は1352m峰の北側でも登場するが、崩壊しかけた雪庇残骸でうまく迂回すれば藪漕ぎの距離は数10m程度で済む(帰りはうまく雪が利用できた)。遠目に見た大鳥岳は山頂付近は雪が付いていないが、山頂直下を帯状に雪が付いていて、おそらくここから見えない尾根の裏側に雪が続いていると予想。この雪を利用すれば藪漕ぎせずに山頂に立てそうだ。

 1280m鞍部からの登り返しで雪が落ちて藪漕ぎが必要な箇所があるが、1352m峰の登りのような長い距離ではなかった。1323m峰はたっぷりの残雪に追われて快適に越えられた。こんな状況がずっと続けばずいぶん楽に歩けるのだが。

 大鳥岳南側の1280m鞍部からの登りにかかるとまたもや尾根上はまだ藪が出ているが、ここは尾根西側のブナ林斜面で雪が繋がっていたのでトラバースして回避。尾根に復帰すると遠目に見えた大鳥岳山頂直下のバンド状の残雪帯直下で、尾根東側に雪が残ってはいるがズタズタに割れていて、細いスノーブリッジのような危なっかしい残雪を通過したりした。ここは来週には雪の上を通れなくなっているだろう。

 大鳥岳直下のバンド状の残雪帯で右にトラバースして残雪帯先端の尾根を回り込んでみたが、残念ながら期待を裏切ってそこに雪は無く灌木藪であった。こうなるとまっすぐ上を目指して最短距離で灌木藪を突破するのが得策である。斜面の下り方向に幹が曲がった藪の「目」に沿って藪をかき分けて細い残雪帯に出ると、そこが大鳥岳山頂であった。

 地形図では尾根が屈曲する個所より南側に1348m標高点が記載されそこが山頂に見えるが、実際の最高点は尾根の屈曲点で東へ枝尾根が張り出す根元であった。最高点は灌木藪が出ているが細い帯状で大きな障害にはならず、簡単に立つことができた。ここには山頂標識も目印も無く人工物は皆無。藪はこれまで同様に背が低く矮小なために視界を遮るものは無く360度の大展望。ここまで来ると毛猛山が近いが、それでも未丈ヶ岳よりは遠く見える。東の眼下には大鳥ダム。そこへと繋がる山頂から東へ延びる尾根は大部分がまだ残雪に覆われているが、一部は雪が落ちている。只見川沿いの林道はほとんど見えないので様子は不明。このままこの尾根を下って林道経由で戻るのがお得なのかはここからでは判断できない。

 さすがに未丈ヶ岳からここまで時間がかかったので大休止。銀マットを敷いて雪原の上にひっくり返って日差しを浴びるのは気持ちいい。相変わらず西寄りの風が強いので、風が避けられる位置で休んだ。未丈ヶ岳からここまで休まず歩いて約2時間半かかったので、帰りは未丈ヶ岳への登り返しを考慮すれば少なくとも3時間はかかりそう。あわよくば今日中に四十峠も往復なんて考えていたが、時間も体力も不足なので明日朝一でアタックに決定。

 休憩を終えて出発。帰りもまた灌木藪漕ぎが待ち構えているのは気が重いが、それを抜けないと今夜の我が家にたどり着けない。あの藪を大ザックで通り抜けるのは大変で、先人の足跡の主は私以上に苦労したことだろう。帰りは往路で雪のつながり方を覚えているので、往路よりは多少効率よく藪を回避できたと思う。1352m峰の下りの藪は崖直上で右に進路を振る必要があるが、藪で前方の様子が見えずに直進したら往路では登らなかった急な岩場に出てしまい、ルートミスに気付いて岩場の右側の藪を下った。

 1180m鞍部の藪を抜ければもう未丈ヶ岳まで藪は無くなるが、今度は本格的な登り返しが待っている。疲労が溜まって足は重いが、日没まではたっぷりと時間があるのでのんびりと登った。

 やっと未丈ヶ岳山頂に戻ってきた。どうやら本日のお客は私とウェストポーチを拾ってくれた男性だけだったようで、足跡は増えていなかった。もう午後も遅い時刻なのでこれから上がってくる登山者もいないだろう。

 まだ日は高いが疲れ果てたのでこれで本日の行動は終了。午前中よりも風向きがやや北寄りに変わり、荷物をデポした場所の風当たりが強くなっていたので、より山頂に近い場所に移動。山頂の雪が無いピークが北西に風をブロックする位置にテントを設営したので、テントが風に揺れることはなかった。もちろん、用心のためテントは近くの灌木に張綱でしばりつけて飛ばされないようにしておいた。雪がある時期のメリットで、多少雪面が斜めでもピッケルやアイゼンで雪面を均して快適に寝られる水平面を作ることが可能。

 テントに入って水作りを済ませればやるべきことはなくなり、昼飯の残りを食べて一人宴会を楽しんでから夕方に就寝。先月の猪頭山での寒さを教訓に寝袋は重い冬用の他に軽くてコンパクトに潰せる3シーズン用のダウンシュラフを持ち上げたので、2重の寝袋である。また、今回は最初からザックをテント底面に置いてその上にマットを敷いたので、下からの冷気の断熱対策はばっちりである。おかげで今回は寒い思いをしなくて済んだどころか暑すぎで3シーズン用シュラフは全くもって不要であり、荷物を重くしただけだった。この夜は前夜と違って夜間の気温が大幅に上がって雪がカチカチに凍らなかったほどだった影響が大きいだろう。夜中も快晴で満天の星空で放射冷却で冷えそうだったが、そんなことはなかった。風があったからだろうか?

 翌朝の四十峠は最初は藪漕ぎが決定なので明るくなってから出発できるよう起床時間を設定。朝飯をのんびり食って、ライトが不要な程度に明るくなってちょうど出発だった。テントはまだ張ったままとし、食料は持たずに水を持ち、防寒装備は無しの軽装で出発。昨日同様の風が吹いていると予想して防寒対策で上下ともゴアを着用。

 四十峠への尾根は山頂からしばらく雪が無く藪が露出しているのは分かっているので、いきなり尾根を下り始めることはしなかった。昨日の大鳥岳への往復で山頂北側は残雪が完全にはつながっていないが、東西方向から残雪の帯が接近した場所があったので、そこを横断することに決めていた。これが藪漕ぎを最小限にするルートである。

 山頂北側の残雪帯を少し下り、西へと残雪が張り出した先端から藪に突入。ここの藪は灌木ではなく根曲竹が主力であり灌木よりはマシだが、向こう側の残雪帯に達するには下向きに寝た根曲竹を突っ切るような形になり、このような「目」に逆らった方向へ歩くのはかなり大変だ。藪の中でもできるだけ密度が薄い隙間を狙って根曲竹をかき分けていく。途中で小さな雪田が出現するが再び根曲竹に没する。しかしその先は藪を通して残雪が見えるようになり、そちらに進むと少しずつ雪が増えて藪から解放。計画通り藪を最短距離で抜けられたはずだ。

 ここから先はしばらくは快適な雪稜の下り。予想と違って風は全くなく、ゴアを着たままでは暑いくらいなので上下ともゴアを脱いだ。日の出の時刻でこれでは日中は昨日より暑くなりそうだ。気温が高めで雪の締まりはイマイチだが踏み抜きは皆無なのでそこそこ快適だ。この尾根は曲がりくねって複雑だが、雪の上を歩ける分には尾根のつながりが見えるので一部を除き問題ない。先に見えている1224m峰近辺は長距離に渡って雪が無く藪漕ぎ確定だろう。

 1358m峰で尾根は左へ屈曲するが、この部分は立った藪でおまけにその先は急な下りで尾根のつながりが見えず、雪が残って歩きやすい北へ下る直進方向の枝尾根に見事に引き込まれてしまった。左方向に高い尾根があることにすぐに気付いてロスは最小限で済んだが、ここは藪の列を突破して直角に左へ曲がる必要がある。

 1358m峰を越えてすぐの下りは尾根直上と左側(南側)は全く雪が無く右側はかろうじて雪が残っているが尾根から離れた場所までずり落ちている区間が多いし、雪が大きく割れて深いクラックで分断されたりして雪が有効に使えないので藪尾根を下った(帰りはできるだけ雪の上を歩いた)。傾斜が緩むと尾根の北側に残雪帯が復活して藪から解放される。

 1224m峰でまた尾根両側とも雪が消えてしまい、灌木が立ち塞がる尾根直上ではなく尾根南側の幹が横に寝たブナが生えたエリアを通過する。こちらの方が藪は格段に薄くて歩きやすい。1224m峰を越えると再び残雪にありつける。

 地形図には表記されないが、1224m峰を越えた先で1210m等高線が長く続く区間は微小ピークが存在する。その微小ピークへの登りでまた雪が消えてしまうが、ここの植生はこれまでの根元から枝分かれして漕ぐのが大変な強固な灌木ではなく、幹が非常に細くて柔らかく直立して低密度な灌木であった。灌木が曲がらずにまっすぐ立っていれば藪漕ぎは非常に楽である。このまま最後まで軽い藪だったら良かったのだがそれは細長いピークの前半までで、後半はこれまで同様の強固な根曲がり灌木藪で苦労した。

 その灌木藪の中に青いサンダルを発見し、そのすぐ先の尾根南側で飯盒とボロボロのエアマットも発見。そして尾根の北側にはこれまたボロボロになったテント本体とフライらしき残骸も発見! 落ちていた収納袋には「Daiwa」の文字が入っていたので、これは登山者のものではなく釣り師のものかも知れない。無雪期に釣りをしながら沢を遡上してここでキャンプを張ったはいいが、ここからまた釣りに出かけたが藪が深くてテントを張った場所が分からずにそのまま放置というのが考えられそうなパターンだ。夏場ならテントが無くても死ぬことは無いだろう。それに沢の下りだったら未丈ヶ岳夏道のある沢まで大した距離は無い。まさか遭難者のものではないだろう(汗)。

 キャンプ跡からもしばらく藪漕ぎが続き、標高1200m付近で尾根が広がってやっと藪から解放された! ここから四十峠山頂までは広い尾根が続いて残雪も続いているのが見える。山頂への登り返しは大した標高差ではない。

 1170m鞍部から登り返すと標高1320m付近で熊の足跡を発見。ただし新しいものではなく溶け具合からして昨日のものと推測された。昨日見た駒の足跡とはかなり距離が離れているので別固体ではなかろうか。どちらにせよもう熊はお目覚めのシーズンなので熊避け鈴は必須だ。

 最後は尾根というより大雪原のような斜面を登りきったところが四十峠山頂だった。この時期の最高点は残雪の上だが、おそらく北西側に生えているブナの辺りが無雪期の最高点なのだろう。人工物は皆無であり、山頂からここまでの間でも目印は見かけなかった。そういえば未丈ヶ岳から大鳥岳間も目印は皆無。こちらはそれなりに歩く人がいると思うが、ここまで目印が無いのは珍しいし喜ばしい。

 四十峠は周囲の山より低いので遠望は効かないが、未丈ヶ岳から大鳥岳にかけての稜線が良く見えている。ここから見上げる未丈ヶ岳は高く登り返しが大変だ。でもあれを登らないと帰れない。四十峠は写真撮影だけしてとんぼ返りとなった。

 帰りも藪漕ぎは相変わらずで迂回できないものは藪を漕ぐしかない。キャンプ跡のあった標高1210m付近の灌木藪は直上を突っ切る以外の選択肢は無いが、1358m峰の藪は右から雪が残る急斜面を巻いて藪を回避。その後は未丈ヶ岳直下の残雪最上部まで詰めてから根曲がり竹藪に突入し、断続的に表れる雪田を繋いで稜線東側の広大な残雪帯に出れば未丈ヶ岳山頂は目の前だ。

 無人の未丈ヶ岳山頂直下のテントに到着し、ザックのパッキングをしながら濡れたテントを広げたままひっくり返して軽い虫干し。食料が減って荷物の体積も減ったので、帰りは往路では側面に取り付けていた荷物の一部はザックの中に収納。これは灌木藪漕ぎを少しでも楽にするための対策&藪に物を取られないために有効。ザックの最上部にテントを詰め込んで重いザックを背負って出発。既に日は高く雪は緩んでいるのでアイゼンはザックの中だ。

 1370m峰手前の1290m鞍部までは残雪が続いて藪は無いので安心して歩けるが、1290m鞍部から灌木藪に突入。今度は登りで藪が「逆目」なのでやっかいだ。この付近は毎年早くに雪が落ちてしまうようで、道は無いが尾根直上の灌木の細い幹や枝にはアイゼンの歯の傷が付いているのが分かる。一部の枝は人の重みで裂けいたりして、濃い藪の中でも人が通った形跡はある。でも藪漕ぎは楽にはならない。

 1370m峰てっぺん付近でやっと残雪に乗って藪から解放される。ここから先はもう大きな登り返しは無いし酷い藪も無い。1260m峰の藪は帰りは東斜面に残った残雪で迂回すればいい。

 快適な雪稜を下っていくと標高1300m付近で降って湧いたように複数の真新しい足跡が登場。どうやらここまで登ってきてUターンしたようだ。昨日のものなのか今日のものなのか分からないが、私の他にこのルートで入った人がいたとは予想外だった。ここでちょっと心配になったのがデポしたワカン。どうせ他に人は来ないだろうと狭い残雪の尾根の真ん中に突き出た枝に差しておいたので、良く目立つ存在のはず。まさか盗んだり落とし物と勘違いして持ち帰って警察へ・・・なんてことは無いだろうなぁ。過去の経験ではデポした荷物が無くなったことは一度もないので大丈夫とは思うが。それにあのワカンは年季が入って切れたバンドの代わりにクレモナロープを巻いて代用している代物で、もう元は取っただろうから無くなっても潔く諦められる。

 やがて前方の1300m峰の登りに人がいることが分かった。足跡は本当にできたてほやほやであった。人数は5人くらいで、この時刻にあんな場所で戻ったということは、体力的に自信が無いか技術的に自信がないかのどちらかだろう。当然ながらあちらは見た感じで日帰りの軽装らしかった。進行速度はかなり遅めで、大ザックの私が登りにかかっても差が詰まっていくのであった。

 1300m峰はてっぺん付近のみ灌木藪が出ていたが先行パーティーは正直に尾根を上がって藪に入り、私は右手の雪が残った斜面を巻いて藪を回避。その先でパーティーに追いついたが、私と同世代や少し上の世代であった。先頭のリーダーらしき初老の男性以外は雪山初心者のように見受けられた。下りで彼らを追い越したが、その後は登りに変わっても追いつかれることは無かった。

 1225m峰は往路は藪を突っ切ったが、帰りは西側の急な雪面をトラバースして藪を回避。先ほどのパーティーは私と同じルートは取らないだろうな。この先の小鞍部がワカンデポ地だが、予想に反してワカンは消えていた。もしかしたら先ほどのパーティーが持っているかもと頭をよぎったが、まあいいかと断念して前進した。

 1260m峰への登りで尾根上の雪が切れて藪が出たところで、尾根東側の低い位置までずり落ちた残雪に下った。雪に達するまでは灌木藪だが、下り坂だし灌木も下り方向に寝ているので突破は楽だった。残雪に達すると横移動し、南側の小尾根手前で雪が消えたところで草付きの藪が無い斜面を登って小尾根に楽々達する。小尾根の裏側(南側)も同じように草付き斜面の先に残雪が続いていて、往路で遭遇した藪は全て回避できた。この小尾根は岩っぽいが、何とミヤマキンバイとしか思えない地を這うような低い草丈と黄色い花を発見。葉もミヤマキンバイに瓜二つ。生えている場所も標高以外はミヤマキンバイと同じ。ただし咲いている時期が大きく異なる。帰宅後にネットで調べてみたらどうやら「イワキンバイ」らしかった。この他に黄色いスミレがあったが、スミレは種類が多く判別は難しい。葉の形状からして高山帯で見かけるスミレではないようだ。思いもよらぬ花との出会いは嬉しかった。

 1260m峰をトラバースし終えれば丸山までしばらくは平坦地の横断。ここはガスられたらイヤな場所だが、晴れていれば立木が少ない大雪原で絵になる風景だ。私とは別ルートで1260m峰へ続く足跡があり、東側の小凹地に人影あり。足跡はアイゼンではなく長靴っぽかったので、登山者ではなくこの周囲の散策だろうか。そういえば追い越したパーティーの足跡は見当たらず、どこをどう歩いたのかは不明。まあ、これだけ平坦で広い場所ではどこでも歩けるからルートは分散するだろう。

 帰りの丸山はスキー場の営業が始まっているので、ゲレンデに入らないよう西側から大きく巻いてしまうことにした。大型連休中ということもありスキー場は賑わっている。普通のゲレンデだけでなくスノーボードのハーフパイプのコースがあったり、小さな瘤でささやかなジャンプができるようになっていたりとバラエティーに富んでいた。特にハーフパイプは初めて見た。ゲレンデからサイレンの音が聞こえたが、怪我人が出たとか非常事態でスノーモービルが出動したようだ。

 1170m鞍部から右へ大きく巻き始めると真新しい足跡が登場。でも5人もの足跡ではなくせいぜい2人程度の少人数。スキー跡ではないしわざわざ丸山を巻いているということは私と同じく歩きの人間に違いないが、目的地はどこなのだろうか?

 丸山の南側に出ると立木が皆無の広大な斜面に変わるが、その下の方に2人の姿が。おそらく足跡の主だろう。こちらは往路で通った反射板のある尾根に乗る計画であり、その尾根はまだ先のようで反射板は見えない。そこそこ傾斜がある雪面だが日当たりがいい南斜面で気温も高く、適度に雪が緩んでアイゼンなしでも安全にトラバース可能だ。それに片手にはピッケルを持っているのでさらに安全性が高い。

 立木皆無の斜面は歩いていて気持ちがいい。まさにスキー向きの斜面だが、ここはゲレンデ外なのでスキー跡は皆無だった。完全に横移動ではなく緩やかに下り気味にルートを取り、最初の小尾根を回り込んで次の尾根に反射板を発見。この斜面はのっぺりして凹凸が無い影響か、どこもかしこも残雪に埋もれて藪は皆無で、簡単に尾根に乗り移ることができた。

 尾根に乗るとトラバース区間には無かったブナが登場。あとはこのブナが続く尾根を下ればいい。反射板はまるで木の根開きのように4本の足の周囲だけ雪が消えていた。反射板より下部はやや傾斜が出てくるがノーアイゼンでも問題ない。ここまで高度を下げるとブナの芽吹きが既に始まっていた。下りで使った尾根は登りとは違ったようで、往路では見なかった送電鉄塔が登場した。帰宅後にGPSの軌跡を見たら往路より1本南側の尾根を下っていた。

 車道に出る直前が最も傾斜がきつく、一部雪が切れて雪壁状だったので繋がった雪を求めてジグザグを切って下り、車道の緩やかなカーブで雪に埋もれた法面を下って車道へ。ここはちょうど小さな沢がありほとんど雪に埋もれた側溝を流れていたので、洞窟のようの側面に空いた穴から側溝にタオルを浸して体を拭いて2日分の汗と顔の日焼け止めを落としてすっきりした。

 駐車したシルバーラインのトンネル入口までちょっとだけ登りを歩いて到着。ここは正式な駐車場ではなく、長時間の駐車で車の窓ガラスに注意書き等が張られていないか心配だったが、特に何もなかった。このままの場所で着替えたり濡れたものを干したりしている間にダムの関係車両が電動式ゲートを開閉して車で出入りしたが、特に何も言われなかった。このようなときに邪魔にならないようゲートから離れた場所に駐車したのが良かったのかもしれない。

 眼下に見えるダム直下の駐車場は先週は満車に近かったが、今週は空きが目立った。でもこれだけ車があるということは、スキー場に近い第1〜第4駐車場は満車ということだろう。関東近郊でこんな時期まで営業しているスキー場は数少ないだろうからなぁ。

 テントや寝袋の虫干しを終えて帰路に付いた。


まとめ
 今年は近年の中では残雪量が多い年だと思うが、それでも大型連休まで季節が進むと今回のルートでも長い藪漕ぎが必要であり、雪が少なかった一昨年や昨年だったらもっと酷い目にあっただろう。完全に藪を避けるなら4月中旬以前でないと無理そうに思えた。ただし、1352m峰の南側の急斜面に雪が付いた状態ではピッケル、アイゼンが絶対に必要となるだろう。雪の割れ方によっては藪よりも越えるのが大変かも。この辺の情報はネットで調べれば出てくるかもしれない。

 次回、奥只見に来るのは猿倉山を狙う時かな。

 

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